家と里山をつなぐデッキ

多摩丘陵の傾斜地に建つN様のお宅は、広大な敷地内に山があり、既存のバルコニーデッキからも庭からも山へつながるようになっています。
デッキバルコニーは洗濯物干し場でもあり、庭の山への行き来の通路でもあるので日常的に使っていますが、老朽化のためデッキの下地の傷みで床を歩くときに不安があるのと、手すりがぐらつくようになってきているとご相談をいただきました。
現場へ伺い確認したところ、何本も筋交いを足したり、床が踏み抜けないように補強材をし、デッキの上に敷石や板材を歩く場所に敷いたり、何度も手直しをした形跡がありました。
やわらかい材質の木を使っていたため、割と初期の頃から傷みが出始めていたそうです。

N様はとても自然素材にこだわりのある方で、今あるデッキの基礎に自然石を敷いたり、元々そこにあった樹木を大黒柱のようにされていて、できるならそれらを新しいデッキにも活かしたいとのことでした。
ただ、既存の柱間隔がまちまちで、部分的に床からの荷重が充分支え切れていない場所があったので、柱位置を変えざるを得ず、補強の意味で新たに柱も追加しました。
柱位置を変える事になったので、どうしても柱の基礎に石を使用したいN様を通じて、N様なじみの石屋さんに基礎用の石を据え置いていただきました。

使い勝手はそのままにしたいということで、デッキ形状と洗濯スペースや物干しを今のままほぼ同じとし、いつも開けたままにしていた山に続く出入り用の扉は取り付けないことにし、物干しスペースの部分だけ手すりの形状がクロス型だったのですが物が落ちやすいので、他の部分に合わせて縦格子としました。
バルコニーデッキの下に当たる場所がN様宅のダイニングの窓になっていて、明り取りの為に既存のデッキの床の隙間を大きめにしていたところ、今回は隙間は既存と通常の中間くらいとし、一部だけデッキの床を取り付けずに強化ガラスを埋込んで明り取りとなるようにしています。

今回は柱や大引、根太などには、デッキ材として最も信頼性のあるイペ材を使用し、デッキ床や手すりなどにはいつも弊社でよく使用するイタウバ材を使用するなど、堅牢で安全面を考慮つつもコスト面で調整した材料選択をしています。

デッキの上を不安なく歩け、手すりも安心して体を掛けられるようになったと、N様も大変喜んでくださいました。

ウッドカラー/ダークオーク