荒れ放題の庭から日本庭園に

外国人の方が、別荘として購入した中古戸建住宅のお庭です。
人が住んでない期間があったため、庭の手入れが全くされておらず、雑草が背丈ほど生い茂り、植木も伸び放題という荒れ果てた状態でした。
ここまで荒れた庭は、今まで依頼された物件でも初めて見るほどで、現調するにも足を踏み入れられないくらい、初回は写真を撮って道路側からの外周を図るのがやっと。
そこから図面を起こし、雑草を処分して再度仕切り直して再現調したほどです。

前居住者は洋風のお庭としていたようで、ほとんどRさんがお好きではない樹種のため、撤去の決定は一瞬で決まりました。
シマトネリコが道路面のブロック塀に沿って20本以上植えられていましたが、成長が早いわりに生垣としては使えない(道路側からの目隠しにならない)樹種なので、全て撤去とし、玄関横にあるコニファーや、階段横のバラも撤去となりました。
唯一残したのは、アプローチの階段脇にある花水木1本だけです。

依頼者のRさんは既存のウッドデッキから日本庭園を眺めたいというご希望で、それ以外はお任せしますということでした。
日本好きの外国人で家具や食器などを相撲や和柄などコテコテの日本風なもので揃えてしまう方もいますが、Rさんは日本庭園が好きとは言え、リビングやキッチンのインテリアや食器はモダンでセンス良く、高級感のあるものが揃っていたので、おそらくいかにものセオリーに沿った日本庭園よりも、機能性があり使い勝手よく和モダンにも見えるくらいの日本庭園が好まれるのではないかと思いました。
別荘なので、植栽の水やり手入れもほとんどできないので、とにかく手のかからない和風の庭に合う常緑の植栽を中心に選んでいます。

道路境界側のメッシュフェンスは撤去し、ブロック上にウッドの目隠しフェンスをつけました。外部からはもちろん、庭からも全く目線が気にならない高さです。

既存のウッドデッキはメンテナンスし、塗装し直しました。
庭に降りやすいようにステップのみ新規で追加しています。

建物廻りを周回できるように庭には鉄平石乱張りの小道を設けました。
デッキや建物の角で幅が狭い部分は飛び石として平板石を敷き、変化をつけています。
勝手口側はインターロッキングを斜めに敷き、角に当たる部分はそれぞれちょっとした植栽コーナーとしています。
ゴミなど放置されていた場所は片付けをして防草シートを敷き、砂利にしています。
アプローチ階段は土間階段に玄関ポーチのタイルと近似色のタイルを貼りました。
土間のままになっている階段袖の部分はジョリパット仕上にしました。

植栽部分の奥行きが深いと手入れが行き届かなくなりがちなので、石貼小道を道路側に寄せるようにうねらせて植栽部分を調整しています。
隣地と道路境界とのコーナーは和室から正面に当たる場所なので、一番和のテイストを色濃く出している部分としました。
日本庭園ならではのつくばいを置き、手前には瓦の小口部分が波に見えるように埋め込んでいます。
敷地の角を小さいながらも築山に見立てて、このお庭のシンボルツリーともなる松やイヌマキなどは、より日本庭園に合う樹形のものをRさんにも植木屋さんに同行していただき選んでいただきました。

庭に変化をつけるため、小道脇に陶器の照明を置き、小岩を点在させています。
イロハモミジやドウダンツツジ、アカバナトキワマンサク、オタフクナンテン、キンモクセイ、ジンチョウゲなども植え、紅葉や香りを楽しめる季節感を味わえるお庭になりました。

ウッドカラー/ダークオーク